ARTICLE. 44 「半側空間無視のメカニズム」|UMICAHI JOURNAL|熊本市の訪問看護・リハビリ・介護ステーション|UMICAHI(ウミカヒ)

MENU

アカデミック 2023.10.9

ARTICLE. 44 「半側空間無視のメカニズム」

UMICAHI訪問看護リハビリステーションがお伝えする

在宅看護・在宅リハビリテーションを提供するうえで、役に立つかもしれない最新情報や知識を共有する「ARTICLE」

 

今回テーマは「半側空間無視のメカニズム」

 

 

高次脳機能障害の一つである半側空間無視 (Unilateral spatial neglect: USN)は、脳卒中既往者の多くで観察される症状です。このUSNの発生機序には、古くより注意障害説 (Weintraub & Mesulam, 1987) や表象障害説 (Bisiach & Luzzatti) など様々な仮説が提唱されてきました。

 

特に近年では、USNの症状には2つの異なる視空間注意システムが関与する可能性が指摘されています。この視空間注意システムは、意図的に注意を向ける能動的注意と、外的な刺激によって注意が呼び起こされるが、意図によらない受動的注意に分けられます (Corbetta & Shulman, 2002)。

 

例えば、車を運転中に塀の陰から人が飛び出すことを予測してブレーキを踏む際には能動的注意が作動し、予測していない場所から人が飛び出し、慌ててブレーキを踏む際には受動的注意が作動するといわれており、USNでは主に左側の (能動的注意は保たれていても) 受動的注意が低下している症例が報告されています (Corbetta & Shulman, 2002)。

 

しかしながら、これらの仮説のみでは説明しきれないUSNの症状もあり、現在もそのメカニズムを明らかにする試みが続いています。

 

 

参考文献

    Weintraub, S., & Mesulam, M.M. (1987). Right cerebral dominance in spatial attention. Further evidence based on ipsilateral neglect. Archives of neurology, 44, 621-625. 

Bisiach, E., & Luzzatti, C. (1978). Unilateral neglect of representational space. Cortex, 14, 129-133. 

Corbetta, M., & Shulman, G.L. (2002). Control of goal-directed and stimulus-driven attention in the brain. Nature Reviews Neuroscience, 3, 201-215. 

Corbetta, M., & Shulman, G.L. (2011). Spatial neglect and attention networks. Annual Review of Neuroscience, 34, 569-599. 

 

一覧ページにもどる

Srchive

アーカイブ

UMICAHI RECRUIT スタッフ募集についてはこちら