アカデミック 2022.2.6
ARTICLE. 9 「実際運動と運動イメージ」
UMICAHI訪問看護リハビリステーションがお伝えする
在宅看護・在宅リハビリテーションを提供するうえで、役に立つかもしれない最新情報や知識を共有する「ARTICLE 」
今回テーマは「実際運動と運動イメージ」
機能回復を促進する手法の一つに運動イメージを用いたものがあります。
運動イメージとは、「行動する主体がある一定の行為をシミュレートするダイナミックな状態」と定義されています (Decety & Jeannerod, 1996)。
すなわち、実際には運動を伴わなくても、心的に(頭の中で)運動を想像することをいいます。
実際運動と運動イメージはリンクしており、脳活動も同じようなプロセスで制御されています。
例えば、運動イメージ中には運動前野、補足運動野、頭頂葉および小脳 (実際運動時にも活動する領域) などが、実際の運動を実行せずとも活動することが分かっています (Hanakawa et al., 2008)。
また、Yue & Cole (1992) は、4週間 (週5回) の運動イメージを用いた筋力トレーニング (指を動かすイメージを行った) で、実際運動には劣るものの運動イメージトレーニングのみでも筋力増強効果がみられたことを報告しています。
これらの結果は、運動イメージがリハビリテーションに用いられる根拠の一つとされています。
参考文献
Decety, J., & Jeannerod, M. (1996). Mentally simulated movements in virtual reality: does Fitts’s law hold in motor imagery? Behavioural Brain Research, 72, 127-134.
Hanakawa, T., Dimyan, M., & Hallett, M. (2008). Motor Planning, Imagery, and Execution in the Distributed Motor Network: A Time-Course Study with Functional MRI. Cerebral Cortex, 18, 2775-2788.
Yue, G., & Cole, K. J. (1992). Strength increases from the motor program: comparison of training with maximal voluntary and imagined muscle contractions. Journal of Neurophysiology, 67, 1114-1123.