アカデミック 2022.3.9
ARTICLE. 10 「運動イメージの加齢変化」
UMICAHI訪問看護リハビリステーションがお伝えする
在宅看護・在宅リハビリテーションを提供するうえで、役に立つかもしれない最新情報や知識を共有する「ARTICLE 」
今回テーマは「運動イメージの加齢変化」
認知機能や運動機能と同様に、運動イメージも加齢とともに変化していくことが知られています。
Mulder et al. (2007) は若齢者から高齢者まで333名に対して、VMIQ (Movement Imagery Questionnaire-Revised Japanese Version) という質問紙を用いた運動イメージ研究を行っています。
VMIQとは、ジャンプや走るなどの運動に関する項目が24種類あり、それらの運動を一人称イメージ (ふだん自分が行動をし、物ごとを見るときと同じ視線で、自分が実際に行っているように見たり感じたりするイメージ)、もしくは三人称イメージ (ビデオに録画した自分の姿をその後に画面で見るように,第三者的に自分を外から見るイメージ) で想起してもらい、それぞれ5段階の点数で自己評価するものです (得点が低い程、イメージが良くできたことを示します)。その結果、年齢が増加するにつれて、一人称イメージよりも三人称イメージを想起しやすい傾向にあることが分かりました。
一方で、運動イメージを用いた介入は他者視点の三人称イメージよりも一人称イメージの方がより効果的であることが報告されています (Hanakawa, 2016; Saimpont et al., 2013)。
したがって、運動イメージの訓練も年齢に合わせて上手く使い分ける必要があるかもしれません。
参考文献
Hanakawa, T. (2016). Organizing motor imageries. Neuroscience Research, 104, 56–63.
Mulder, T., Hochstenbach, J. B. H., Heuvelen, M. J. G., & Otter, A.R. (2007). Motor imagery: The relation between age and imagery capacity, Human Movement Science, 26, 203-211.
Saimpont, A., Malouin, F., Tousignant, B., Jackson, P. L., (2013). Motor imagery and aging. Journal of Motor Behavior, 45, 21-28.