アカデミック 2022.3.21
ARTICLE. 11 「運動イメージの個人差」
UMICAHI訪問看護リハビリステーションがお伝えする
在宅看護・在宅リハビリテーションを提供するうえで、役に立つかもしれない最新情報や知識を共有する「ARTICLE 」
今回テーマは「運動イメージの個人差」
加齢に伴って実際の運動機能と同様に運動イメージも低下することが知られていますが (#10_運動イメージの加齢変化参照)、高齢者間においても運動イメージの個人差があることが明らかにされています。
Kotegawa et al. (2021) は高齢者における運動イメージの個人差と脳活動の関連を明らかにする目的で、歩行課題を用いた研究を実施しました。歩行課題は、距離5mで幅の異なる通路を実際に歩く時間 (actual walking time; AWT) と、歩く運動イメージにかかる時間 (mental walking time: MWT) をそれぞれ測定するもので、若齢者であれば通常AWTとMWTはほぼ一致し、高齢者では両者が解離することが明らかにされています (Personnier et al., 2010)。
Kotegawa et al. (2021) の研究では、高齢者を歩行能力で2つの群に分け、歩行課題の成績と脳活動 (この研究では前頭前野) を比較しました。その結果、歩行能力の低い高齢者は高い個人と比較してAWTのみでなくMWTも遅く、脳活動にも差がみられました。すなわち、高齢者においては、実際運動 (歩行能力) と同様に運動イメージにも個人差があることが分かりました。この結果は、運動イメージが実際運動と密接に関連している可能性を示しています。
参考文献
Kotegawa, K., Yasumura, Y., & Teramoto, Y. (2021). Changes in prefrontal cortical activation during motor imagery of precision gait with age and task difficulty. Behavioural Brain Research, 399, 113046. doi: 10.1016/j.bbr.2020.113046.
Personnier, P., Ballay, Y., & Papaxanthis, C. (2010). Mentally represented motor actions in normal aging: III. Electromyographic features of imagined arm movements. Behavioural Brain Research, 206, 184-191.