アカデミック 2022.11.14
ARTICLE. 25 「脳血管障害と早期リハビリテーション」
UMICAHI訪問看護リハビリステーションがお伝えする
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今回テーマは「脳血管障害と早期リハビリテーション」
脳卒中リハビリテーションでは発症早期から積極的な介入が重要であることがいわれていますが、早すぎる介入は逆効果であることが明らかにされています。
Sundseth et al. (2012) は、入院後のリハビリテーション (モビライゼーション) 開始に最適な時期を検討する目的で、脳卒中発症後24時間以内に入院した対象者を、入院24時間以内にモビライゼーションを開始した群 (very early mobilization: VEM群) と、24~48時間以内に開始した群 (対照群) に分けて、転帰や機能回復を比較しました。
その結果、VEM群では対照群と比較して、有意ではないものの転帰不良例の割合が高く、逆に対照群の方が有意な機能改善を示したことを報告しています。
Bernhardt et al. (2015) のグループも5か国56施設の多施設共同研究で、2104人の脳卒中既往者を対象として、VEM群と通常のケアを行った群 (対象群) に分け、3ヶ月後の予後良好例の比率がVEM群よりも対照群で有意に高かったことを明らかにしています。
これらの結果は、超早期のリハビリテーション介入 (発症24時間以内) は、機能回復には逆効果で転帰不良となる可能性があることを示しています。
一方で、発症後24~48時間の介入は効果的であることも示唆されるため、発症早期からのリハビリテーション介入は重要であることはいえるでしょう。
参考文献
Sundseth, A., Thommessen, B., Rønning, O. M. (2012). Outcome after mobilization within 24 hours of acute stroke: a randomized controlled trial. Stroke, 43, 2389-2394.
AVERT Trial Collaboration group. (2015). Efficacy and safety of very early mobilisation within 24 h of stroke onset (AVERT): a randomised controlled trial. Lancet. 386, 46-55.