アカデミック 2023.2.20
ARTICLE. 32 「痛みの病態」
UMICAHI訪問看護リハビリステーションがお伝えする
在宅看護・在宅リハビリテーションを提供するうえで、役に立つかもしれない最新情報や知識を共有する「ARTICLE」
今回テーマは「痛みの病態」
ヒトにとって痛みの発生は様々な日常生活に影響を及ぼします。特に慢性的な痛みは活動性の低下を引き起こし、時には寝たきりの原因となる場合があります。
慢性疼痛の要因には、生理的、心理的、社会的な要因が相互に影響し合いながら、多次元的かつダイナミックに統合されたものとして説明されています (Meints & Edwards, 2018)。例えば、ストレスやトラウマ、対人関係などが起因となり、慢性疼痛を発症することもあり、これらの要因に対処することも重要です。
近年では国際疼痛学会が、組織の持続的な炎症と損傷によって引き起こされる侵害受容性疼痛、および神経の損傷によって引き起こされる神経障害性疼痛とは異なるメカニズムに起因する第3の痛みを定義しました。
これは、ノシプスチックペイン (日本疼痛学会などの国内学会では、痛覚変調性疼痛と対訳) と呼ばれ、詳細なメカニズムは解明されていませんが、中枢神経系の痛みと感覚処理の増強、痛みの調節機能の変化が重要な役割を果たすと考えられています (Fitzcharles et al., 2021)。
ノシプスチックペインには社会心理的な要因が関係しており、痛みの発生には心理面を含めた様々な要因が影響していることを知っておく必要があります。
参考文献
Meints, S. M., & Edwards, R. R. (2018). Evaluating psychosocial contributions to chronic pain outcomes. Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry, 87, 168-182.
Fitzcharles, M. A., Cohen, S. P., Clauw, D. J., Littlejohn, G., Usui, C., & Häuser, W. (2021). Nociplastic pain: towards an understanding of prevalent pain conditions. Lancet, 397, 2098-2110.